本稿は『The BRICS Domino: From Malaysia to Riyadh. A Global Shift』(https://youtu.be/L8qdwpaky3I)の内容からヒントを得て、各種補足報告から再構成した考察文です。
マレーシアのBRICS加盟をめぐる突然のUターン、エジプトの脆弱な経済、そして中国のリヤドでの米国ドル債券販売。これらは、BRICSの拡大、グローバルサウスの連帯、そして米中対立の激化を示す巨大なシフトの兆しです。この記事では、三つの重要な地政学的ホットスポットを解き明かし、新たな多極化世界秩序を形作る動きを探ります。
まず、マレーシアのBRICS加盟とその反転劇(メンバー加盟からパートナーシップへ)から始めます。米国とのアジア自由貿易協定に沿う形で、数ヶ月にわたるロシアと中国からの外交圧力にもかかわらず、この動きはBRICS加盟戦略が米国の対抗策とASEANの地政学によってますます挑戦を受けていることを明らかにします。
次に、エジプトの経済へ移ります。エジプトFDI 2025を前に大量の外国直接投資(FDI)流入が起きていますが、長年の構造的問題、IMFの緊縮財政、高いエジプトIMF債務、そして脆弱なエジプト観光経済モデルを修正できていません。
最後に、中国のリヤドでのUSD債券販売に深く潜ります。これは、ペトロダラーシステムのシフトを暗示する微妙だが地震のような動きで、米中金融対立を激化させます。中国USトレジャリー競争の成長とBRICS金融戦略の新ツールの登場により、北京はBRI(一帯一路イニシアチブ)諸国を米ドルで資金提供できることを示し、グローバル流動性と中国ドル外交を再構築しつつ、直接対立を避けています。
米国の経済外交がBRICS地政学と衝突する様子を探り、将来のBRICS拡大とより広いグローバルサウスの連帯が何を意味するかを考察します。
このエピソードでは、マレーシアの国内政治動態で外交政策と無関係なものは扱いません。ロシアの内部BRICSイニシアチブの深掘り、インドのブロック内スタンスの探求、BRICSとの投機的な暗号通貨のつながり、並行決済システムの未検証の噂も避けます。また、BRICS対米国の二元論や純粋な敵対性を単純化するナラティブも排除し、政策シフトとマクロ経済データを基にしたニュアンスある分析を目指します。
皆さん、想像してみてください。東南アジアの要衝、マレーシアがBRICSという巨大な経済ブロックへの加盟を検討していました。BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字を取ったもので、世界のGDPの約3割を占める強力なグループです。2024年10月24日、マレーシアは13カ国の一つとして正式にBRICSのパートナー国として認められました。これで、BRICSは一つの第五の経済規模を持つブロックとして、世界の貿易や投資の流れを変えようとしています。
しかし、ここで突然のUターンです。マレーシアは2025年にフルメンバーを申請する予定でしたが、慎重姿勢を強めています。なぜなら、米国とのアジア太平洋自由貿易協定(CPTPPやIPEFなど)の推進に沿う形で、BRICS加盟が米国の対抗策に阻まれているからです。ロシアと中国からの数ヶ月間の外交圧力にもかかわらず、マレーシアの外相Mohamad Hasan氏は「今はパートナー国で満足だ。タイミングが来たらフルメンバーになる」と述べています。これは、ASEANの地政学的なバランスを崩さないための賢い選択です。ブラジルがマレーシアの加盟を支持し、中国も後押ししていますが、米国の影が濃いです。
この動きは、BRICS拡大の戦略が単なる経済連携ではなく、地政学的な綱引きであることを示しています。グローバルサウス諸国がBRICSに傾く中、米国はFTA(自由貿易協定)で引き留めようとしています。2025年のBRICSサミット(リオデジャネイロで7月6-7日開催)では、このような加盟議論が熱を帯びていました。
私たち日本人にとって、これは他人事ではありません。日本はマレーシアの最大の投資国の一つで、電子部品や自動車のサプライチェーンに深く依存しています。もしマレーシアがBRICSに深く傾けば、米中対立の狭間で貿易ルートが乱れ、日本企業の投資がリスクにさらされます。例えば、2025年のASEAN議長国としてマレーシアがBRICSを活用すれば、日本のアジア太平洋戦略(FOIP:自由で開かれたインド太平洋)が揺らぎ、輸出入のコストが上がる可能性があります。円安が進む中、資源輸入依存の日本経済は打撃を受けやすいです。物価上昇がさらに加速するかも知れません。
まず、政府はマレーシアとの二国間FTAを強化し、BRICS加盟の影響を緩和する外交を急ぎましょう。企業はサプライチェーンの多様化を進め、インドやベトナムへのシフトを検討するべきでしょう。我々は、貯蓄を分散し、ドルや金への投資を少し考えて見る必要があるでしょう。 これで、突然の貿易摩擦に備えられます。注意喚起として、ニュースでBRICSの動きを見逃さないでくださね。アメリカのFTA推進は、日本を味方に留める布石でもあります。
次に、北アフリカのエジプトを見てみましょう。ピラミッドとナイル川の国ですが、経済は結構大変です。2025年のエジプトFDI(外国直接投資)に向け、大規模な流入が予想されています。IMFの支援で、2025年の成長率は4%と見込まれ、湾岸諸国からのFDIが活発化しています。例えば、2024年3月にIMFはエジプトのローンを5億ドル増額し、総額8億ドルのパッケージを承認しました。これで、為替自由化が進み、2025会計年度の成長は4.4%に上がるでしょう。
長年の構造的問題、IMFの緊縮財政、高いエジプトIMF債務、そして脆弱なエジプト観光経済モデルが残っています。債務対GDP比は86%ですが、低下傾向で、2025-2026年の債務返済は約440億ドル。観光収入は2022/23会計年度で136億ドル、スエズ運河も外貨源ですが、地政学的緊張(紅海問題など)で揺れています。IMFの第4回レビュー(2025年3月10日)で、改革が進んだと評価されましたが、利払いが歳入の75%という状況は深刻です。湾岸FDIの50億ドルの支援で安定化していますが、根本解決には至っていません。
このエジプトの状況は、グローバルサウスの典型で、BRICS加盟国として中国やロシアの支援を求めつつ、IMF(つまり米主導)の枠組みに縛られています。2025年の投資気候声明でも、構造改革の必要性が強調されています。
日本にとって、エジプトはスエズ運河経由の貿易ルートとして重要です。もしエジプト経済が崩れれば、石油輸入の遅延でガソリン価格が跳ね上がり、国民生活に直撃します。日本はエジプトにインフラ投資をしていますが、債務危機が拡大すれば、ODA(政府開発援助)の回収リスクが増え、税金の無駄遣いになるかもしれません。米中対立の中で、エジプトがBRICS寄りになれば、日本の中東外交が複雑化します。食料やエネルギーの値上がりを感じたら、これが一因かも知れません。
対策として、日本政府はIMFを通じた多国間支援を強化し、エジプトの観光・運河セクターへの投資を増やしましょう。企業は代替ルート(喜望峰経由)の準備を。 注意喚起です:アメリカのIMF主導は日本に有利ですが、BRICSの影を無視せず、ニュースをチェックしましょう。
最後に、中東の中心、サウジアラビアのリヤドへ。2024年11月、中国は3年ぶりにリヤドで20億ドルのUSD建てソブリン債券を発行しました。これは、単なる資金調達だけではなく、ペトロダラーシステムのシフトを暗示する、微妙だが地震のような動きです。ペトロダラーとは、1970年代の米サウ協定で、石油をドルで売る代わりに米債を買う仕組みですが、中国はこのドルを中東で直接吸収し、BRI諸国への資金提供に回しています。
これにより、米中金融対立が激化。中国USトレジャリー(米国債)競争が成長し、BRICS金融戦略の新ツールとして機能します。北京は直接対立を避けつつ、グローバル流動性を再構築。中国の財務省は11月にリヤドで債券を販売し、サウジの豊富なペトロダラーを引きつけています。サウジのビジョン2030と中国のBRIが結びつき、300億ドルの商業取引も生まれました。これは、ドル外交の新しい形です。2025年現在、BRICSは国家通貨の使用を推進し、多極化を加速させています。
この動きは、米国のドル覇権に亀裂を入れ、グローバルサウスの連帯を強めています。サウジの王太子がペトロダラー協定の更新を拒否した噂も、こうした文脈で語られます。
日本はドル依存の貿易国です。中国のこの動きが成功すれば、ドル需要が減り、円の国際的地位が相対的に低下。日銀の為替介入が難しくなり、株価や年金運用に悪影響が出ます。BRIがアジア・アフリカを覆えば、日本企業の海外進出が競争激化。国民の貯金の実質価値が目減りするリスクが高まります。アメリカの対抗策がエスカレートすれば、米中貿易戦争の再燃で、日本は板挟みになります。
政府はCPTPPを活用したドル外取引を推進し、BRICSとの対話窓口を増やしましょう。企業はユーロや人民元建てのヘッジを。 注意喚起として、アメリカの金融政策変更を注視してください。中国のドル外交はチャンスでもあり、日本が多角的に動けば、影響を最小限に抑えられます。
これらの出来事は、BRICSが世界を揺るがす証です。日本人として、アメリカの動きを冷静に見極め、私たちの未来を守る行動を起こしましょう。